僕らの南極

セカペンたちの知っていること、考えてきたことの記録

ドラえもん、サザエさん、ロックマン

 小学生の頃にどこで遊びましたか?

 90年代生まれの方なら、まだ「学校で配られた連絡網*1から友だちの電話番号を見つけ、電話する」という経験があるだろう。または、「ある公園にいたら誰がいるかは分からないけど、誰かがいる」という経験があるだろう。

 『ドラえもん』の世界では、空き地にいけばジャイアンたちが野球をしたりリサイタルをしている。空き地というのは彼らにとって、誰かと遊ぶにはうってつけの場所である。

 また、『サザエさん』の世界では中島がカツオの家に行って「いそのー、野球しようぜ!」と声をかける。または、電話をして「今日なんか用事ある?」ときく*2。

 次に時代はとんで、『ロックマンエグゼ』*3の世界を見てみよう。ロックマンエグゼの世界では、小学校で授業が終わった後に「じゃあ、家に帰ったらネットで!」と声を掛け合って家に帰る。そして、家に帰るとパソコンをつけて電子世界の”遊び場”へと向かう。

 僕たちはどうだっただろうか。僕個人のケースをみると、小学校低学年の頃はそれこそ電話したり遊び場にあたる場所に行ったりしていた。小学校高学年になると、チャットが流行ってしまい、昼は外で遊び、夜はチャットで遊ぶということをしていた。これがさらに中学・高校となっていくと、お互いに「遊びに行きたい」という話をして、日程を合わせて遊びに行く。そんな風な変化をしていた。

 誰でもいいから遊びたいというものから知り合いと遊びたいになる。遊びたい時に遊ぶから遊べる時に遊ぶ。その変化に何があったのか、考えてみよう。

 再び『ドラえもん』へ。ドラえもんにでてくるしずかちゃんは、のび太君やジャイアンたちと一緒にまざって遊ぶことがそこまで多くない。その理由をしずかちゃんは「ごめんなさい、今日は習い事があって……」と言う。低学年から高学年にいくにしたがって、しずかちゃんのように「習い事」に縛られる子どもというのが増えていった。こうした子どもが増えると、「偶発的に遊ぶ」ということが少し難しくなる。また、その日に思いついたかのように遊びに誘うということも難しくなる。それくらいなら、予定を合わせて遊んだ方がいい。

 また、友だちへの連絡の方法というものが大きく変わった。友だちの家に行って「今日遊べる?」というよりも、電話を使って「今日遊べる?」と聞く方が無駄がないことを僕たちは知っている。90年代生まれの人たちが小学生くらいの頃の変化として、小学生の携帯電話やパソコン等のメールの普及があるのではないだろうか。携帯電話を与えている人は少ないとしても、パソコンのメールアカウント*4を一つ渡しておくという家はあったのではないだろうか。その個人への連絡手段を得ることによって、電話をして相手の家族が電話にでて「○○ちゃんいますか?」ときくという無駄がなくなることを知る。こうした無駄の排除によって、変化が起きたと考えられる。

 では、彼らは日頃いつ「遊ぶ」のか。その問題を解決してくれるのが、インターネットというツールである。インターネットというツールの利点は、成長した私たちがよく知っているのではないだろうか。インターネットは場所を選ばない、時間を選ばない、人を選ばない。今や、現実の”空き地”に行くよりも、ネットの”空き地”に行く方が人に出会えるのだ。実際に、所謂「ネトゲ(インターネットのオンラインゲーム)*5」をすることは珍しくはない。パソコンを使えなくても3DSWi-Fi機能を使えば、夜でも家にいながらでも友だちや誰かと通信をすることができる。

 インターネットの技術が浸透したことによって、「友だちと遊ぶ時間」というものは縛られなくなってきている。しかし、今までの「友だちと遊ぶ時間」が「塾や習い事をする時間」なり、「家族でいる時間」が「友だちと遊ぶ時間」になっている。家族と一緒にいる時間がないというのは、もはや親の問題だけではなく、子どもたちの都合というのも関係しているかもしれない。

 遊びの変化と子どもたちの一日の時間の使い方の変化。この二つを一緒に考察してこそ、子どもたちにとっての有意義な時間というのは何かということの糸口になりうるだろう。

 

*1;連絡網は僕らの頃から変化していきましたね。小学校の頃は全員分の連絡先(電話番号)が書いていたのですが、中学・高校になると、自分の出席番号付近の人の連絡先しか教えてもらえませんでしたね。

*2:磯野君ちに電話をしてくるのって、中島よりも花沢さんの印象が……。

*3:『ロックマンエグゼ』は僕らが小学生の頃にでたゲームボーイアドバンスのソフトですね。当時、コロコロコミックでも連載されていました。ネット君という小学生とロックマンというネット君のアバターが主人公です。チップ制のバトルがすごく面白かったです。

*4:小学校高学年(2005年)くらいから、jcomのメールアカウントを持っていたり、携帯電話(アンテナがまだあった)を持っていたりする人が増えましたね。しかし、ポストペットを持っている人は一人しかいませんでした!

*5:ネトゲは小学五年生のときに何かしたのですが、忘れました。覚えているのは、何人かとハンゲームしていました。しかし、僕らがネットの集合場所として使っていたのはチャットでした。特に、「もなちゃと」というチャットサイトを使っていました。よく考えたら、僕は当時から知らない人と電話したりチャットしたりもしていましたね……。