僕らの南極

セカペンたちの知っていること、考えてきたことの記録

失恋は何を失うのだろう

 事の発端は、眠れない夜にぽんが「ねーねー、失恋って何?」って聞いてきたことにあった。元旦に何を言っているんだと思いながら、その話に付き合う事にした。

 

 

二号「失恋って……単純に恋を失うってことじゃないの」

ぽん「それくらいはもう分かるもん! 漢字が二つ以上並んでいるときはバラバラにして並べ替えたら意味が分かるって教えてもらったもん! ぽんがききたいのは、どういう状態が失恋っていうの?」

「例えば……好きな人に告白してふられること。あとは、付き合ってる人に別れを告げられること」

「ふーん。じゃあ、恋っていうのは、叶わなくなったら恋じゃないの? 愛とはそういうところが違うの?」

「なんでいきなり愛に。でも、確かに。愛は一方的であり与えるものであると考えると、失愛とは言わないね。でも、叶わなくなったら恋じゃないかと言われると、うーん……叶う可能性が0であれば、失恋と言えるかもね」

「想い合っていても付き合えないっていうのは、失恋?」

「……それは失恋とは言わない気がしてきた。何が違うのとは言わなくていい。私も説明できないから。えーっと……相手が自分のことを想う可能性が0だったら失恋なんじゃないかな」

「告白する前の状態は失恋じゃないの?」

「それはもう開けてみるまで、きいてみるまで分からないから0ではないでしょ。相手からしたら0でも、自分からしたら希望があると思い込んでいるなら失恋ではない」

「じゃあさ、じゃあさ、ふられた後も諦めることなく想い続けてるのは失恋じゃないの?」

「失恋……じゃないかも。そもそも、その人は何も失っていない気がする。可能性があると思い込んでいるうちは、失恋ではないと思う」

「ふーん。じゃあ、その失うものって主観的なんだねー。自分が想うのをやめたら失恋なのかなー。思い込みの問題?」

「思い込み……。まあ、確かに恋は思い込みかもしれない……」

「失ったのは、"その人を想う自分"なのかな? 蛇みたいに脱皮するみたいにてーいって新しくなる気持ちなのかな? それだったら、ふられた後に泣くのはまだ失恋じゃないよね?」

「う……うーん。いや、ふられた時点で失恋とは言うね……」

「想う自分が非効率だって気づいたら失恋なのかな?」

「それはむしろ失恋した後に立ち直っているから違うかも。どちらかというと、想う自分が報われないと気づいたら失恋」

「んー、それは何を失ってるの?」

「何を失ってるんだろうねー」

 

 みんなは何を失っているんだろう。