僕らの南極

セカペンたちの知っていること、考えてきたことの記録

俺と僕の性別について(前編)

 身体は女で心は男。そんなキャラクターが二次元にも三次元にも進出してきて以来、性別については結構自由になってきた感じがある。

 そんな<性別>というものについて、女の身体をもっている男二人(悠、うな)で話してみた。

 ●一人称について

悠「僕は精神的な性を示すものとして、一人称っていうのが結構大きな役割を果たしていると思うんだよ。話し方が男らしくあったって、一人称が『私』だとそこまで違和感を抱かないけど、『俺』とか『僕』だったら違和感があるみたいなんだ」

うな「一人称ねー。俺は昔から(小学生の頃から)、自分の一人称に関しては変えたことがないな。友だちの前とかでも、普通に俺って言うし。逆に、先生とかそういう人の前ではさすがに不味いなって思って一人称を『自分』ってすることでごまかしている。『自分は〜って思いますね』って感じで」

「公の場では結構躊躇うよね。特に僕らよりも年上だと、人によっては怒るから。でも、逆に公の場では男子も女子も『私』って使うことが多いから、僕はそういう場で『私』って言うことに抵抗はないかな」

「そんなもんかね。まあ、俺は公の場に出る事はそんなにないから知らんけど。ただ、一人称って俺らにとって『誰が出ているかを示すもの』でもあるから、無理に『私』ってしなくてもいいんだろうな」

「子どものうちは周りからいろいろ言われるけど、今は、ねえ。一人称でぐだぐだ言われることはないから、そこは不自由しないね」

●今の生活について

「今困ること、今困ること……そんなにねえな」

「おまえ、結構エンジョイしているよね。彼氏未満がいる女の子に『俺と遊んで相手を嫉妬させてみる?』なんて軽口言うくらいに」

「あれは、ね。ここで言う?(笑)確かに、女の子に付き合わない前提で軽くいろいろ言えるのは楽だけどさ」

「スカート着ることについては、抵抗ないの? 僕が大学一年のときにふっきれてスカート着るようになったけど。それまでショートパンツ着れるぐらいだったから、まあ、それがスカートになっただけで……」

「俺はスカートについては特には。俺が着る!ってことを意識すると、うーわーって思うけど、別に俺だけが着るわけじゃないし、俺以外のやつが着たいのだったら、そこでわーわー言ってもねぇ」

「そういう思考だったのね。おまえ、中学に行くの『制服がスカートだから嫌』って言ってたくせに」

「それについては、話題をうつろうか」

●中学、高校時代について

「中学、高校と制服だったんでしょ?」

「うん、もちろん女子の制服。最初はそれなりに抵抗があったぞ。僕の場合は中学一年の終わり際から着る状態だったけど(それまでは学校に行ってなかった)。制服になると、さらに女子と男子の境がはっきりしているからなぁ」

「制服自体、男子と女子で一緒にすることは無理だろ」

「体操服は同じなくせにねー。あ、でも、高校は男子女子で体操服も別だったわ。ジャージは一緒だったけど」

「ジャージが一緒ってなんかな。なんでそこは一緒でいいのに、体操服は駄目なんだ」

「それは謎だ。歴史背景を考えると、女子がブルマだったから、その名残で別々なんだと思うけど。でも、体操服で性別の違いを強く意識するってことはなかったな。あれを男子が着ても別に違和感ないし。間違って買って体育で集合するまで気づかなかったって先輩の話を聞いた事があるし」

「やばいな(笑)。体育はそうだけど、女子の制服ってさ、制服だけが女子なわけじゃないじゃん。汗のスプレー振りまくとか、香水つけるとか、スカートあげるとか、そういうのを含めた女子が、俺は嫌なんだよ」

「中学までは確かにそういうことしないと、他の女子から『あいつは女子らしくない』と言われるんだよなぁ。高校はわりと女子間の性別で合わせるべき場所ってのはそんなになかったから、自由だったな」

「性別に関してさ、俺の勝手な経験論だけど、女子の方が敏感だよな。言ってしまえば、男子は友だちとしては性別なんかどうでもいいんだよ、相手が面白ければ」

「いや、そうは言っても、男子も気にするぞ。特に、女子と話していることで噂がたつと、どんなに中身は男っぽくても見た目が女なら、ちょっと気にしちゃうんだよな。例えばさ、男友だちとして接している女子がいるとして、その子が話しかけてくると。んで、それが結構噂になってくると気になるんだよ。『自分の好きな○○さんが誤解しないかな』って。そういう不幸な事故が起きないか気が気じゃないと思うぞ」

「制服がある以上、ごまかせないもんな。それに、男子も女子もそうだけど、男女が一緒にいるの見ると、恋人同士だなんだと囃し立てるから、めんどくさい。俺からしたら友だちと遊んでいるつもりでも、他のやつからしたら『その男の子が好きな女の子がじゃれ合ってる』ようにしか見えないらしいもんな」

「ね。うなもそうだけど、僕も何度かビッチとか男好きとか言われたよ。男子から『男女』って言われることに関してはその通りと思ってなんとも言わなかったけど、ビッチはさすがに……ね」

「話は変わるけど、おまえ、旅行の風呂とかはどうしたんだ?」

「う……。プールは女子同士であってもタオルで隠しながら着替えるから別に大丈夫なんだけど、お風呂は本当につらかった。隠すものがないし、着替えるときにタオルで隠しながら着替えても、最後にはすっぽんぽんだし。僕は目のやり場がないから水風呂につかっていた。それ以外の方法としては、『今、生理中です』と先生に嘘ついて一人風呂入ってた」

「そんな苦労していたのかー。『バカとテストの召還獣』にでてくる秀吉みたいに、専用風呂があったらいいな」

「僕は女子だから『生理中です』で逃げれたけど、身体が男子で心が女子の人はそういうものがほしいと思うのかもね。『幻覚ピカソ』の中のある登場人物が、身体が男子で心が女子の人を描いている」

「あんな風に、みんなが理解するってことは少ないだろうけどな」

 

後編へ……